本を探すには

  • 2008/05/24(土) 06:40:12

AAA司法試験基本書ガイド http://goukaku.ifdef.jp/ 
2008年5月現在、最も網羅性の高い一覧を見ることができる。

メールマガジン発行予告

  • 2008/05/26(月) 04:30:12

2008年7月第1週から、
 憲法篇
 民法篇
を発行する予定です。詳細は、随時アップしていきます。

参照文献一覧

  • 2008/05/27(火) 01:55:17

 メルマガ購読者の皆様は特に,
版数」に注意してください。
 略称】

憲法

  
憲法 第4版 芦部信喜・ 高橋和之補訂(岩波書店)… 芦部
別冊ジュリスト憲法判例百選 第5版(有斐閣)… 百選1
別冊ジュリスト憲法判例百選 第5版(有斐閣)… 百選2
憲法 第4版
野中俊彦・中村睦男・高橋和之・高見勝利 著
(有斐閣)… 有斐閣1
憲法 第4版
野中俊彦・中村睦男・高橋和之・高見勝利 著
(有斐閣)… 有斐閣2
憲法学 憲法総論
芦部信喜 著
(有斐閣)… 憲法学1
憲法学 人権総論
芦部信喜 著
(有斐閣)… 憲法学2
憲法学 人権各論(1)[増補版]
芦部信喜 著
(有斐閣)… 憲法学3
   

民法

  
民法総則 ・物権総論
    第4版 内田貴 著
(東大出版会)… 内田1
民法債権各論 
    第2版 内田貴 著
(東大出版会)… 内田2
民法債権総論 ・担保物権
      第3版 内田貴 著
(東大出版会)… 内田3
民法親族・相続
    補訂版 内田貴 著
(東大出版会)… 内田4
我妻・有泉コンメンタール民法
総則・物権・債権 第2版 
我妻栄・有泉亨・清水誠・田山輝明 著
 (日本評論社)… コンメ

基本書について(総論)

  • 2008/05/28(水) 05:08:35

「基本書」というターム 
は、司法試験受験生の間で何十年も昔から使い 古されてきたスラングだが、昨今では、「研究者(大学教授)の著した体系書」を指すと解する学生が多い。
 この誤解は些細な事柄だが、「法律の学習」についての誤解と一体化しているように思えるので、念のため書いておく。

「基本書」とは
 文字通り、「各自が勉強の基本として用いている書物」 を指す。
 ここに「基本として用いている」とは、学習する際の前提知識・思考の根拠・ 論理の出発点となる記述を求めることであり、「書物」というのは、物理的に一冊にまとまっていることを意味する。
 それゆえ、可能性としてはあらゆる本が基本書として選択されうる。
過去問集(多くは解説付であろうが)や、判例付六法でさえ、基本書になりうるはずだ。
 しかし、現実的な各種の考慮(表現すると下品なので敢て書かない)から、現(または元)司法試験委員が著した体系的教科書を基本書として選択する者が、結果として多くなるに過ぎない。

さて、「法律の学習」
によって
獲得された新情報は、基本書上の記述に関連付けられてメモ(追加)される。そのため、基本書には書き込みがなされ、線が引かれ、色が塗られ、付箋が貼られていく。
 「その作業」=「法律の勉強」と考えてしまうとすれば、それは錯覚だが、しかし、その作業を経験しない法学徒は存在しないはずだ。
 知識を整理し体系化し集約するのは、少なくともアリストテレス以来、人間知性の「本能」なのだから。 
 話が脱線しそうなので元に戻す。
 この作業の物理的負担を少しでも減らそうとするために、もともとからしてたくさんの情報が書き込まれてある分厚い「基本書」を選択する人もいる。
 民法だったら、有斐閣の「注釈民法」シリーズを基本書にすれば、さぞかし手間が省けるだろう(冗談だよ)が、そんな選択をする人は、いないはずだ。
 なぜか。
 もちろん、「物理的に一冊にまとまっていること」という要件を充たしていないから、と言ってもよいが、端的に言えば、「多すぎる」からである。

基本書は、できる限り薄くなくてはいけない。
 往年の代表的基本書のほとんどは、現在では絶版になってしまい、手に取ることは難しい。もし、見ることができればわかるが、宮沢俊義先生の「憲法供廖碧[С愾棺検砲蓮◆屬△燭蕕靴し法のはなし」(昭和22年)の兄貴分ぐらいの筆致だし、木村亀二博士の「新刑法読本」も団藤重光博士の「刑法綱要(初版)」 も薄い本である。兼子一博士の体系書も現在の基準から見れば決して厚い本ではない。

あたらしい憲法のはなし(文部省)

 



 そして、先達の法学徒の多くが、我妻栄博士の「民法講義」の存在にもかかわらず、受験生時代に限っていえば、「ダットサン」を基本書として選択していたのだ。
 なぜか。

「300頁を超える書物は通読に適さないと思います。」
 或る元試験委員の言葉だ。そして体系書を著される際にもその要請を御自身に課された。そのような制約の下に体系書を書くのは非常に厳しいタスクのはずだ。
 その先生は次のようにも言われた。
 「諸君、知識というものはしょせん陳腐なものです。」 

 これ以上の長文は本意に反するので端折ってまとめてしまおう。
 「法律の学習」に際し、法学徒は肝に銘じなければならない。  

情報は(少なすぎるのは論外だが)多すぎてはいけない。
 基本書は厚すぎてはいけない。
 必要最小限の、しかし、よく切れるナイフのような基本書を選ばなければならない。
 その理由は、ただ一つ。 

 試験問題を解く際には、基本書の記述を、正確に、かつ縦横無尽に、使いこなす必要があり、そのためには、(試験場に基本書の持ち込みが許されない以上)、基本書の記述を一字一句余さず頭に入れておく必要があるからである。

 注釈民法は、基本書には適さない。
 判例六法も、基本書には適さないだろう。

 

平成20年度旧試験14(憲法)

  • 2008/05/29(木) 03:16:13

ダウンロード元: http://www.moj.go.jp/SHIKEN/shiken00.html 

文献名は、すべて略称。参照文献一覧を参照のこと。
下線は、すべて筆者が付したもの。

〔No.14〕 近代選挙の基本原則としては,”當盟挙,∧薪選挙,自由選挙,と詭選挙,ツ樟楞挙の各原則が挙げられるが,次のアからケまでの記述は,これらの諸原則のいずれかについて説明したものである。上記,らイ泙任僚原則のうち,対応する記述の数が最も多いものは,後記1から5までのうちどれか。

ア この原則は,棄権しても罰金などの制裁を受けないことを内容とするが,選挙運動の自由という意味で用いられる場合もある。
イ 有権者が、社会全体の利益という観点から投票すべきだとの立場からすると、この原則に対しては個々人の私的な利益に基づく投票を助長するものとの批判があり得る。
ウ この原則は,元々納税額や財産による選挙・被選挙資格の制限をしない原則として成立したが,現在では人種・信条・性別・社会的身分・教育等による一切の差別を禁じる原則と解されている。
エ この原則は,選挙人の自由な意思に基づく投票を確保するためのものであり,公職選挙法が「公職の候補者の氏名を自書しない」投票を無効にすると定め,選挙人自身による記入を義務付けているのはこの原則の現れの一つといえる。
オ 議員定数の不均衡は,専らこの原則との関係で問題となる。
カ 拘束名簿式比例代表制の合憲性が問題となった事件において,最高裁判所は,投票の結果すなわち選挙人の総意によって当選人が決まることには変わりがないとして,この原則に反するものではないと判断した。
キ この原則について、憲法は地方公共団体の長、議員、吏員については明文の規定を設けているが、国会議員については規定を設けていない。
ク 投票するか否かは有権者の自覚に待つことが望ましいとの考えからすると,職権で選挙人名簿を作成することに対しては,この原則に反するとの批判があり得る。
ケ この原則を重視すれば,選挙の公正を確保するためであっても,選挙犯罪(詐欺投票罪)の捜査のため投票済み投票用紙を差押え等することは許されないことになる。

1.”當盟挙 2.∧薪選挙 3.自由選挙 4.と詭選挙 5.ツ樟楞挙

【解答】
ア 自由選挙の原則。芦部250頁
イ 「投票」を「棄権も含めた投票行動」の意と解すれば、
  自由選挙の原則 を説明した記述となるのに対し、
  「投票」を「候補者の選択」の意と解すれば、
  と詭選挙の原則 を説明した記述となる。
  直ちには決しがたいため、判断を留保して先に進む。
ウ ”當盟挙の原則。芦部248頁
エ 自書しないと無効投票となる「自書投票制(投票自書制)」は、
 公選法68条1項7号・2項7号・3項9号に規定されている。
 芦部250頁は、自書投票制につき次の一文をもって言及するのみである。
「どのような方法で秘密を保障するかは、公職選挙法に規定されている(46条4項・52条・68条・施行令32条等)。」
 
 ともあれ、自書投票制は、
  と詭投票の原則 の現れということになる。
オ ∧薪選挙の原則。芦部250頁
カ 拘束名簿式比例代表制は
  ツ樟楞挙の原則 に反しないか、が問題とされた(芦部287頁)。
キ ツ樟楞挙の原則。44条・47条・93条を対比せよ。
ク 自由選挙の原則。「投票するか否か」というレベルの原則だから。
ケ と詭選挙の原則。芦部250頁

以上から、
,蓮■韻帖淵Α
△蓮■韻帖淵)
は、2つ(ア・ク)+イ?
い蓮■欧帖淵─Ε院法椒ぁ
イ蓮■欧帖淵・キ)

そこで、判断を留保したイの帰趨(きすう)によって正解が左右される。
クが「投票するか否か」のレベルの記述であることと対比すると、
イは「投票されたとして誰に投票したか」のレベルの記述であると解釈するのが順当だろう。
とすると、
イは、と詭選挙の原則 について説明している記述であることになる。

かかる決断をすると、い「イ・エ・ケ」の3つで最も多くなる。
正解は、4


【分析】
 エの自書投票制については、芦部には言及がない。
確かに、公選法の条数が挙げられており、芦部に挙げられた条文は全て目を通すべき(芦部32頁は、公選法を日本国憲法の成文法源として明示している!)だが、公選法68条に目を通したとしても、自書投票制の趣旨までは読みとれないだろう。とすると、芦部だけでは、情報が足りないじゃないか!? やはり、百選の「解説」まで読み込むべきなのか、あるいは基本書を有斐閣兇紡悗┐襪戮なのか!?
−−−否。
エの記述は、前段のみで判断すべきものである。
エの前段「選挙人の自由な意思に基づく投票を確保するため」の原則とは、秘密投票の原則以外にありえない(芦部250頁参照)。

【余談】 
 某予備校の解答速報に迷いが生じたのは、イの判断ゆえではなかったかと憶測する(当て推量である)。
 エについても、芦部から離れると、迷いが生ずる。
有斐閣30頁には、「投票自書制は投票の秘密の制約を招く」旨の記述があり、
百選362頁にも、「自書投票主義から来る秘密投票原理への制約の問題」との記述がある。
 つまり、自書投票制は、秘密投票の原則を「制約するもの」であって、同原則の「現れ」ではないことになる。
…とすると、エは秘密投票についての記述ではないのではなかろうか
…投票を自書しないということは他人が介在するということだから、直接選挙の原則の問題か…。
 このような「思考の迷走」を始める人こそが、きっと頭の良い人なのだろう。私はそう思う。
 しかし、本問は、エの記述内容自体が正しいか否か、を問題にしていない。